
154回目の今日お届けしたのは、「トイレの神様/植村花菜」でした。
「8歳の時、母親が持っていた『サウンド・オブ・ミュージック』のビデオを観て、"歌で人を感動させることは、何て素晴らしいことなんだろう"と思ったんです。それで、私は歌手になりたいと思うようになったんです」。
1983年1月、兵庫県川西市に生まれた植村花菜は、地元の高校を卒業後、歌手になる夢を実現させるために「大阪スクールオブミュージック専門学校」に進学します。
「実は私が進学したボーカルテクニックを学ぶコースは、真剣に歌手を目指している人がほとんどいなかったんです。"学校辞めるしかないなぁ"と思っていたんですが、同じ学校のシンガーソングライターコースの同級生と話をしていると、シンガーソングライターコースの生徒たちは、デビューを夢見て頑張っているっていうんですね。それで、直ぐにコースを変更することにしたんです」。植村さん本人は、当時についてこう振り返ります。
こうして、植村花菜は、シンガーソングライターコースに変わることで、オリジナル曲を作り始めることになります。また、同時に、友達と弾き語りでの路上ライブを始めることにもなるのでした。路上ライブをするようなってまもなくの2002年秋、植村花菜は路上ライブ中に、キングレコードのスタッフ声を掛けられ、10月に行われた「服部良一記念音楽祭 ザ・ストリートミュージシャン・グランプリ」に出場。応募数1,200組の中からグランプリに選ばれます。グランプリ獲得後、植村花菜は、キングレコードのスタッフともに、メジャーデビューを目指して、地元関西を中心に音楽活動を続け、まず、2004年6月にインディーズからシングル「花菜」をリリース、そして、翌2005年5月、メジャー1stシングル「大切な人」で、子供の頃からの夢、"歌手になる"ことを果たすのでした。
2005年5月、植村花菜は1stシングル「大切な人」をリリースします。
前向きな歌詞を、切ないメロディに乗せて歌う、シンガーソングライター植村花菜は、デビュー以降、音楽関係者から高い評価を受け、順調にリリースとライブを重ねていきます。しかし、関係者からの高い評価の割には、セールス結果は伴いません。
「結果はあくまで結果であり、私はその時常にベストを尽くしてきたつもりです。結果が出ない事に悩んだ時期もありましたけど、色んな要因がある訳で、自分ができる事は"その時その時のベストを尽くすことだ"そう思うようにしていました」。
2009年夏、植村花菜は、次のアルバムプロデュースを、寺岡良人に依頼します。
「アルバムテーマを"自分のルーツを、ありのままにさらけ出す"に決めたんです。自分のこれまでのことを寺岡さんにあれこれ話す中で、私が、小学三年の時から一緒に暮らしていた祖母に"トイレには女神様が居て、毎日きれいに掃除をしたら、べっぴんさんになるんやで"と言われ、それ以来、私はずっと毎日欠かさず、自宅のトイレ掃除をしているという話をしたんです。そうしたら、寺岡さんが"超いい話だね。曲にしてみたら"と言ってくれたんです」。
寺岡呼人の一言をキッカケに、植村花菜は、幼少の頃一緒に暮らした、祖母との思い出を歌詞にまとめます。そしてメロディは、当時、祖母と一緒に聴いていた「テネシーワルツ」を思い浮かべて、作っていきました。
「完成した曲は、普通の倍近い長さで、スタッフからは、"10分近い曲は、ラジオでは流れにくい。もう少し曲を短くできないか"と言われたんです。私も一瞬、曲を短くすることを考えたんですが、それでは、私の原点とも言える、祖母との想い出を書いたこの曲は成立しないと思ったんです」。
「私は、"全国のラジオ局の中には、私の思いが伝わる人達が絶対に居るはずだ"とスタッフを説得し、曲をそのまま収録することを押し通しました」。こうして、祖母との思い出を、ありのまま歌詞に込めた植村花菜の曲は、2010年1月に地元大阪のラジオから流れたのを皮切りに、その評判が少しずつ、全国へと拡がっていくのでした。
2010年3月に発売された、アルバム『わたしのかけらたち』に収録された楽曲「トイレの神様」は、9分52秒という曲の長さ、そして植村花菜が書いた詞の世界観が、多くのメディアに取り上げられ話題となり、アルバム『わたしのかけらたち』は、セールスチャート最高位10位、半年以上もランクインし続けるロングヒットとなっています。
「この曲は、私にとってかけがいのない祖母との思い出、そして祖母への感謝の気持ちが沢山詰まった、どんな曲よりも大切な曲です。その思い出が詰まった曲を、これだけの多くの人達に、興味を持って聴いてもらえたのは、何にも変えることのできない、宝物です。」。
最後に、植村花菜さんは、こう話してくれました。
自分のルーツと、その感謝をありのままに綴った、J-POPの名曲が生まれた瞬間でした。
今日OAした曲目
M1.My Favorite Things/Julie Andrews
M2.大切な人/植村花菜
M3.トイレの神様/植村花菜