2008.3.25

本当に最後のご挨拶

みなさま、一年間お付き合いありがとうございました。(もしも最近、放送を聴いていらっしゃらないでこのブログをごらんになった方がいらっしゃったら、放送は先週で最終回となりましたことをあらためて報告させていただきますね)

広島の音楽シーンの一端を紹介することと、ジャズという音楽の私なりの切り口による紹介、という二つのポイントで番組を構成してきましたが、これからも機会を作ってはこういうガイド的な内容を世の中に提供し続けられれば、よいなぁと願っています。

最後ということもあって、ついつい再放送まで聴いてみたのですが、FridayJazzTransitの後に「トランスワールド・ミュージックウェイズ」という音楽番組を放送しておりまして、この番組はこれまた素晴らしい見識で作られていて、めったに俎上に載ることのない、ジャンルの谷間に位置しているような音楽を案内している番組です。

僭越ながら、自分の番組からのつながりの良さに、あらためて我々の番組の制作姿勢の意義を感じたわけですが(最後だけあって自画自賛モードをお許し下さい!)、このジャズ・トランジットによってジャズに興味をもった方にはこの番組が終わった後も広島FMではジャズ枠を用意しております。

「渡辺貞夫 Nightly Yours」4月より、毎週(日曜)深夜0時からです。
これからもどうぞ広島FMをよろしくお願いいたします。

そして、音楽はいまこの瞬間も広島県下のあらゆるところで演奏されていることとおもいます。私は狭い意味では広島にこだわる必要などは無いと思いつつも、土着性を自分が自覚するがゆえに、居住地には何がしかの影響力がありますから、この場所に生きる上では、広島に豊穣な音楽文化が栄えてほしいとは思っています。

ただそうなるには、もっともっとわたしたちが自分の人生の豊かさを自覚して生きることができるようになることを待たなければならないでしょうけれど、そして、その時間は100年単位の時間が必要でしょうけれど、これからもその種子をそこかしこに蒔きつづけるために、お店も音楽家もみな、現在の不毛さを受け入れて、努力しつづけていけることを願っています。

音楽を良い内容にするには音楽家と聴衆とが互いに高めあえる関係にあることが必要と思いますが、その聴衆と音楽家双方に大きく影響を与えるのはその演奏機会を提供する企画者・お店であることも見過ごせません。企画者・お店の姿勢によって聴衆もまったく姿勢が違いますし、演奏者も意識が変わります。この三者が切磋琢磨していけることを本当に願っております。

幸い、私は非常に意識が高い企画者に恵まれ、数は少ないながらも質の高い演奏機会に恵まれております。この限られたスペースですが、これらの企画を実行していただいてきた方々に感謝を申し上げます。どのようなものも良いスタッフなしでは成立しません。どうぞお客様もそのことを心に留めていろいろなイベントを楽しんでください。

ちなみにこの番組で言えば、柴田さんのあいさつの写真に写っているK.S.氏、写っていないK.T.氏、そして柴田直子さんという無限の力をもったアシスタント、そして広島FMのスタッフたち、ありがとうございました。もちろん、リスナーにも!

そして、これからも実は自分のすぐ周りの環境には無限の豊穣が隠れていて、遠くのものが良く見えるけれど、なにかをきっかけに真の豊かさが自覚できるよう、自分の意識を研ぎ澄ましていきたいと常に願っております。

またお目にかかりましょう、藤井政美でした!

2008.3.22

感謝をこめて…ごあいさつ

アシスタントの柴田直子です!
いやー、とうとう終わっちゃった…(この文章を書いている時点ではまだ再放送のオンエアは残っているのですが)。なんだかまだあんまり実感がなくて、また来週になったらフラリと藤井さんがスタジオにやって来るような気がします(いや、もちろん今後もきっとフラリと遊びには来てくださるんですけど…レギュラー収録としては今回がひとまずラスト、ですからね)。

いろいろなところで書いたりお話していることですが、私がこの番組の担当になったのは本当にひょんなきっかけからで、藤井さんとの最初の打ち合わせでも「何がなにやらよく分かってないんですが、ともあれはじめまして…」みたいな感じだったんです。番組の終了が決まってから、最初の方の回を聴きなおしてみたのですが、やっぱりその手探り感がハッキリと(笑)。(それに対して藤井さんったら初回から堂々としたものでしたが…)

でも何かのときに、とにかくその場で初めて聴く曲に対して、何か気になるところ、ひっかかるところ、気に入ったところを素直に口に出していいんだなぁ、って思ったときがあって、そこからさらに番組が楽しくなったような気がします。私のビギナー丸出しな感想にもひとつひとつ答えを返してくれた藤井さんに、この場を借りて、改めて感謝!です。

あと、時々選曲をさせて頂いたのも、すっごく楽しかったです!皆さんに楽しんで頂けたかどうかは分かりませんが、とにかく私は楽しかったです(汗・それでいいのかしら…?)。

よく「出会いは宝物」なんていいますけれど、一生のうちに本当に宝物になるような出会いがきっと誰にもいくつもあるんですね。この番組は、私に思いもよらぬたくさんの宝物をくれました。藤井さんをはじめとした番組スタッフの皆さんに、ゲストの皆さんに、広島でジャズを愛するたくさんの方々に、そして何より、この番組を通してラジオの前で出会えた皆様に向けて。本当に本当に!ありがとうございました。

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(番組スタッフで。FJTはこの少人数で作られているのだ!!あと、貴重なアドバイザーさんもいます。Kさーん、いろいろありがとうございました!)

あっ、番組のラストでいえなかったので。アシスタントは、柴田直子でした!!

2008.3.22

放送後記 3/21分

パーソナリティの藤井政美です。今週もお聴きくださってありがとうございました。

いやいやしかし、放送終わっても最後にまだ反省が・・・・最後の挨拶を放送を聴いてくださった方々にできずに終わっているのを柴田さんともども反省していたところです。「お相手は〜 でした」って言わなかったのですね。それと、楽器の案内をぜんぜんしなかったのです。

予告ブログで触れたからいいか、と勝手に思っていたのもありますが、やはりすぐ後に楽器を吹くというのはちょっと覚悟がいるので、ついつい話がおろそかになってしまっていて。

最後に吹いた楽器は C メロディサックスです。そして曲はリクエストをいただいていたストラッティ・ウィズ・サム・バーベキューでした(これは言っていますね)。リクエストはルイ・アームストロングのホット・ファイブの時代のものだと思いますが、わたしの最後の演奏に変えさせていただいたことをご了承ください。

この曲は1920年代の作曲で使用していたCメロの楽器それ自体も1920代の製造ですから丁度合っているな、と思っています。長い音楽の歴史の中でどうしても忘れていかれてしまう、それを少しでも現代的な視点で楽しみ方を追求する、そんなこの番組の目指すひとつの姿ともダブるので、このようにさせていただきました。

こんな渋い曲をはじめ、各リクエストを頂戴しており、本当にありがとうございました。アルバート・アイラーもコパカパーナもリクエスト特集でもして一発で流したかったものです。でも、なかなかコパカパーナのお勧め演奏って無いのですけれど・・・

ジャズという音楽は音楽スタイルそれ自体が存在するわけではなくて、その創造するプロセスこそがその本質と思います。つまり、音楽のスタイルで「ジャズ風」に、というようなことが良く言われますが、そういうものよりも、ジャズという即興的な、リズム的な側面を重視した、ひとつの感覚であろうと思うのです。それは言語や習慣のようなものであって、習得するにはまずはその音楽の中身を掴み取るように聴く以外にはないと思います。

私もかつてそうであったように、20年以上前に聴いていたFMの音楽番組が大きな影響を自分に及ぼしてくれています。もしもどなたかが長い時間を経て、この番組を聴いたことでひとつの音楽の中身にたどりつくためにプロセスを感じていただけたならば、思い描いた役割が果たせたか、と思います。

そして、できればいつの日かジャズ・ライブハウスに足を運んで実際に演奏をごらんになってください。「ひろしまLIVE net」を参考にしていただければなおうれしい!自分の耳や頭で判断するように、音楽を聴いてくださいね。

というわけでひとまず、一年間お付き合いありがとうございました!もう一回くらいブログは更新するかもしれません。よかったらブック・マーク(お気に入り)に追加しておいてください。最後の挨拶しないとね!

パーソナリティの藤井政美でした。(柴田さんからもきっと挨拶がありますからそちらも、ごらんください)

2008.3.22

3/21 曲目リスト

今回で、最終回のこのFridayJazzTransit、一年間楽しんでいただけたことと確信しております。だって、内容は最高の音源たちですから、自分はそれを並べるだけの仕事ですからね!満足保証付です。そして最終回まで「藤井政美」という私自身のカラーは極力、主張せずきました。もちろん、選曲を通じてカラーは出ますし、思い出深いレコードという類の紹介はしましたが、誰にとっても必ず意義が見出せて、人生観が変わるくらいの音楽を提供してきたつもり??でいます。(少々おこがましいですが、お送りしてきた素晴らしい音源たちに免じてお許しください)

今回は最終回ですので、わたしの音楽人生に影響を与えた音源、という極めて個人的な意味から選曲させていただきました。今まで掛けたものも、結局掛けられなかったものにもそういう音源は沢山ありますけれど、今回は一年分の私のラックの棚卸しです。

最初は元気よくパット・メセニーから。明け方の日の出とともに運転しながらこの曲を聴くと、光に溶けていけるような気持ちになります。続いて、J.レッドマンのテーマ構成の美しいソプラノサックスのナンバー。現代に生きる音楽家として見習いたい姿勢の持ち主です。この曲の美しさには是非、注目してもらいたいところ。日本で批評家受けが悪いのが信じられません。
M-1 Yolanda,You Learn/PatMethenyGroup アルバム「First Circle」
M-2 One Shining Soul/Joshua Redman(Ss) アルバム「FreedomInTheGroove」

14歳でこのレコードを輸入盤で何気なく買ったときは、全く内容が理解できませんでしたが、軽く聴かせた友人がその素晴らしさを先に理解し、私に興奮して伝えてから音楽を「深く聴く」ことに扉が開いたように思います。この演奏全てが私の音楽の中心の糧となっている一枚から。そして、この番組で紹介したくともいまだできていない、素晴らしい北欧の音楽家たちの音源を続けて。
M-3 Quartet No.1/Chick Corea(Pf) アルバム「Three Quartets」
M-4 All Of You/KarinKrog(Vo)WithJanGarbarek(Ts) アルバム「JazzMoments」

この人も音楽家として注目せざるを得ない人です。未だにこのレコード素晴らしい完成度と思います。
M-5 Melodique/Wynton Marsalis(Tp) アルバム「J Mood」

最後に二曲つづけて、ラグタイム・ピアノのデュエット、続いて賛美歌からモチーフをとったクリス・ポッターのオリジナルを。私が思う現代のトップ・リーディング・ミュージシャンがクリス・ポッターです。彼はサックスの歴史をまた前進させています。 何故かこの二曲のの続きには音楽に連続性があります。
M-6 The Chevy Chase/JohnArpin&CatherinWilson(Pf) アルバム「Rags To Riches」
M-7 Old Faithful/Chris Potter(Ts) アルバム「Moving In」

そして、ALL Endingは…
Struttin’with Some BBQ/藤井政美(C MelodySax独奏)

2008.3.19

3/21分 予告です

パーソナリティの藤井政美です。

毎日暖かくなりました。水温むという言葉が実感できますね!柴田さんも先週の放送の最後で、「春は旅立ちの季節なんですね・・・」と前置きして最終回の話を切り出してくださいました。

というわけで、今回の3月21日金曜夜20時からのFridayJazzTransit を最終回ということにさせていただくこととなりました。(一週早いことですけれど、最終週はわれわれとは別の特番が入ります。でもそちらもお楽しみに。)

一年間はあっという間ですが、51週に亘ってプログラムを構成するというなんとも楽しい時間は特別なものです。良い経験を支えてくれたリスナーの皆様、貴重な機会を与えて全面的に任せてくれた広島FM、番組を聴くに耐えるクオリティにすべく惜しみない協力をしていただいた番組スタッフ、相棒としてこれ以上ない人である柴田直子さん、そして、今この瞬間も格闘している世の音楽(あるいは表現に)にかかわるひとたち、ありがとうございました。

といって、これ以上は振り返ることも無く、湿っぽくは行かないところがわたしの感覚ということで、普通に今週も構成しています。でも、テーマはありません。わたしの選んだ演奏、という程度のものです。それもごく普通に番組として良い流れとなることを考えてつなげてみました。

湿っぽくないという点で、元気よく行く一曲目にパット・メセニー・グループの「ヨランダ・ユー・ラーン」、現代の音楽家としての姿勢に学ぶべき点が多いジョシュア・レッドマンの美しいテーマ構成の「ワン・シャイニング・ソウル」、一度も番組でその独特な音楽を紹介できずに終わるのがもったいないと思うノルウェーの音楽家ヤン・ガルバレクが珍しく歌伴奏をしているカーリン・クロッグ(Vo)の「オール・オブ・ユー」、こちらではベースにニールス・ヘニング・エルステッド・ペデルセンが参加しています。この方も亡くなりましたが多大な功績を残した音楽家です。

他には、トランペッターのみならず、音楽界のリーダーとしてもウィントン・マルサリスを外すことはできないのですが、今回に至るまで紹介することができなかったので、ブルージーなムードが素晴らしいアルバム「J Mood」から選曲してみます。ラグタイム・ピアノの音源もひとつ。ピアノ・デュエットで、クラシックの棚にあったのですが、とても雰囲気の良いものです。音楽が店内で掛かって「これ、何のCDですか?」と訊くことはあまりしないのですが、このCDは耐えられず尋ねてしまいました。

そして、音楽の奥深さを探求するきっかけとなった曲を。チック・コリアのアルバム「スリー・カルテッツ」
高校時代は毎日聴いていました。サックスのソロ以上に感じ入ったのは、ピアノソロの部分のベース・ドラムスとのコンビネーションの信じられないほどの素晴らしさでした。もうひとつ、現代サックスの新しいページを開いたクリス・ポッターの賛美歌をモチーフにした演奏も。私は彼の演奏こそ、自分が追い求めて行きたいサムシングを持っていると思っています。

メロディ・ハーモニー、リズム、そしてそれを統合したアドリブなど、音楽を提示することで自分の考える美意識を伝えたい、というのが私の演奏活動の根本ですが、こうした選曲を通じても全くその意識は同じです。この世にはさまざまな価値観がありますから、人はそれぞれですが、最高のものとは何か?という問いを常に自問自答して価値観を鍛えて行くことこそが私には重要なことです。残念ながら、そうした真摯な姿勢があまり無いのが世の中ですけれど。(硬い話で申し訳ありません、でもたまには硬い人の居場所があってもいいかな?)そうした世界と格闘するのが表現活動をする人だと思います。是非、そうした一端を見て取っていただければ幸いです。

そして、番組の最後にはちょっと楽器を手にとってみようと思っています。何にしようか迷っていますが、珍しい C Melody Saxという楽器を考えています。Cメロと称されるこの楽器は1920年代に爆発的なブームとなってアメリカを席巻しますが、その後10年で姿を消すという、ブームの激しさとむなしさを体現した楽器です。ピアノと同じ譜面で演奏が可能という、普通に考えればそんなの普通じゃないの?と言われそうなことを可能にしている楽器です。(ちなみに通常、サックスはピアノと譜面が違うんですよ・・ 困るんです。)浮世離れしたポーというサウンドが、私にはファゴット的な印象で感じられますが、みなさんはどうでしょうか?楽しみにしていてください。

というわけで、ひとまずは金曜日にお会いしましょう!お楽しみに。藤井政美でした!