水域環境を浄化する「カキ殻パワー」に期待大!

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2月のカキまつりラッシュもひと段落し、いよいよ春を迎える3月に突入。この冬を振り返って、皆さんはいくつカキを食べましたか? こんな話題ができるのも、生産量日本一を誇る「カキ王国・広島」ならでは。一斗缶で買い込むなんて、県外者からしてみればギョーテンだそうです。
 
sennsei110102kakipower.jpgそんな広島ッ子ご自慢の美味も、生産されればされるほど、一方ではカキ殻が廃棄物として発生します。平成20年には、約10万トンもの殻が排出されたとか。大量のカキ殻を、なんとかうまく再利用できたら。。。「海の環境浄化に使えたら、これぞ『循環社会』じゃね」、と思い付いたのが広島市です。そして、水域環境学を専門とする広島大学大学院生物圏科学研究科の山本民次教授がこの難題を引き受け、学生らとともに研究プロジェクトを2008年にスタート。安芸郡海田町の瀬野川河口部で、翌2009年からカキ殻を使った浄化の実証実験が始動しました。
 
養殖業者から排出されるカキ殻は、もともとニワトリの飼料や畑の肥料として、有効活用されていたそうです。それらを作る過程で、カキ殻は高温で焼かれ、主成分の炭酸カルシウムの一部が酸化カルシウムに変化。ここに着目し、焼かれたカキ殻を砕いて、瀬野川河口のヘドロに計12トンをすき込んでみたところ...、山本教授も驚くほどの結果が得られたとか。なんと、ヘドロ中の有害物質である硫化水素(あのイヤな臭いもコレが原因!)がカキ殻の酸化カルシウムで中和され、開始直後の計測では硫化水素濃度が最大70ppmだったのに対し、現在はほぼゼロになったそう!
 
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 硫化水素とは、生物にとって猛毒で、呼吸を困難にしてしまうもの。よって、生物が生きていける可能性はほとんどない。特に川と海がつながる河口や入り江付近には、硫化水素を含むヘドロが溜まりやすいとか。豊かな海の象徴であるプランクトンは、川が運ぶ栄養素を源としているというのに...。しかし、カキ殻パワーでヘドロが浄化されれば、生物が生息し始め、豊かな生態系が成り立つ。実際、山本教授たちが実験を続ける瀬野川の干潟では、5倍以上もの生物が姿を現し始めたそうです!
 
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この実験は、3月でいったん終了。山本教授は「カキ殻が捨てられず、海の浄化に役立つことが分かったので、県や市あるいは国などで、環境浄化事業を進めていただきたい」と、カキ殻利用のこれからに期待を込めています。

 これから初夏にかけては、生物たちの繁殖・産卵の時期。瀬野川が、生物に優しい子育てのゆりかごになることを願いたいですね。そして、殻が浄化につながることをうれしく思いながら、来シーズンもおいしいカキをパクパク食べたいものです!